「上司の言い方がつらいけれど、これをハラスメントと呼んでよいのだろうか」
「社内へ相談したら、自分が不利にならないだろうか」
そう迷い、誰にも話せないまま我慢している方もいるかもしれません。
職場で受けた言動がハラスメントに該当するか、自分だけで判断するのは難しいものです。はっきり断定できない段階でも、相談窓口を利用することはできます。
この記事では、職場のハラスメントについて相談できる社内・外部の窓口と、状況に合う選び方、相談前に記録しておきたいことをまとめています。
ハラスメントか判断できなくても相談してよい

「自分の受け取り方が悪いのか」と迷ってしまうこともある
厳しい言い方をされても、「仕事の指導だから仕方ない」と受け止めてしまうことがあります。
ただ、言動の内容だけでなく、繰り返されているか、仕事や体調へどのような影響が出ているかも大切な視点です。
ハラスメントに該当するか決めてから相談する必要はない
相談窓口は、相手をすぐに処分してもらうためだけでなく、状況と今後の対応を一緒に整理するためにも利用できます。
「ハラスメントではなかったら恥ずかしい」と考え、相談をためらわなくてもよいでしょう。
相談する前に、自分だけで結論を出す必要はありません。
身の危険や強い不調がある時は安全を優先する
安全を優先したい状態
暴力や脅迫がある場合は、その場を離れ、安全な場所へ移ることを優先してください。身の危険が迫っている時は、警察や地域の緊急窓口への相談も選択肢になります。
眠れない、食べられない、涙が止まらない、出勤前に強い動悸が出るといった状態が続いているなら、医療機関や公的相談窓口へ早めに相談することも考えてみてください。
今の状態を確かめたい方は、職場の人間関係に疲れた時の限界サインでも整理できます。
まず確認したい社内のハラスメント相談窓口

相談先が分からず、一人で抱えてしまった時のこと
以前、私も威圧的に感じる上司との一対一のやり取りに、強い負担を感じたことがあります。
当時は「厳しい人だから仕方ない」と考え、相談するより、自分の受け止め方を変えようとしていました。
そこで、可能な案件は個別ではなく、複数人が参加する会議で報告するようにしました。話す人数と場所を変えたことで、負担が少し軽くなった経験があります。
ただし、こうした工夫だけでは収まらない言動もあります。一人で耐え続けず、窓口を頼ることも大切だと感じています。
上司や人事・労務へ相談する
相手が同僚や取引先であれば、まず直属の上司へ相談する方法があります。
直属の上司が相手なら、さらに上の上司、人事・労務担当者など、相手と利害関係の少ない人を選んでも構いません。
相談する時は、いつ、どこで、どのような言動があり、仕事や体調へどのような影響が出ているかを伝えると、状況を共有しやすくなります。
相談相手は、直属の上司だけに限られません。
社内相談窓口や外部委託窓口を利用する
会社によっては、人事部とは別にハラスメント相談窓口を設けていたり、外部の専門機関へ相談業務を委託していたりします。
就業規則、社内イントラネット、入社時の資料などで確認してみましょう。
匿名相談の可否や、相談内容が誰まで共有されるかも確認しておくと安心です。
相談したい言動の相手が上司など、社内へ話しにくい場合もある
相談相手と行為者が近い関係にある場合や、小さな会社で窓口が実質的に機能していない場合もあるかもしれません。
社内へ相談することで不利益を受けそうだと不安なら、無理に社内から始めず、外部窓口で状況を話してみる方法があります。
社内で相談しにくい時に利用できる外部相談窓口

総合労働相談コーナー
総合労働相談コーナー(厚生労働省)は、全国の労働局や労働基準監督署内などに設置されている相談窓口です。
パワハラ、いじめ、嫌がらせのほか、解雇や配置転換など幅広い労働問題について、無料で電話または面談による相談ができます。
都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)
都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)では、パワーハラスメント、セクシュアルハラスメント、妊娠・出産や育児・介護休業に関するハラスメントなどの相談を受け付けています。
受付時間や連絡先は地域によって異なるため、厚生労働省のハラスメント相談窓口から確認してください。
労働基準監督署が相談先になるケース
労働基準監督署は、賃金、労働時間、安全衛生など、労働基準関係法令に関わる問題を扱います。
ハラスメントの悩みをすべて直接解決する窓口ではありません。
相談内容によって、適した公的窓口は異なります。
法的な対応まで考える時の相談先
深刻な権利侵害が疑われる場合や、会社との話し合いで解決が難しい場合は、法テラス、弁護士会、地域の労働組合などへ相談する方法もあります。
考えられる選択肢や、残しておきたい資料について確認するためにも利用できます。
ハラスメントを相談する前に記録しておきたいこと

日時・場所・相手・言動・目撃者を残す
相談前に、次の内容を可能な範囲で記録しておくと、状況を説明しやすくなります。
記録しておきたい項目
- 起きた日時と場所
- 誰から、どのような言動を受けたか
- その場にいた人
- 自分がどのように対応したか
- 仕事や体調へ出た影響
メールやチャットなどの資料を保存する
メール、業務チャット、勤務記録、業務指示など、出来事を確認できる資料があれば整理しておきます。
ただし、社内機密や他人の個人情報を無断で持ち出してよいという意味ではありません。
保存方法に迷う場合は、公的窓口や法律の専門家へ確認してください。
困っていることと希望する対応をメモする
「相手との接点を減らしたい」「事実を確認してほしい」「配置変更を相談したい」など、希望する対応があればメモしておきます。
まだ希望が決まっていなくても相談できます。
記録を職場だけに保管しない
記録を会社のパソコンやアカウントだけに保存すると、休職や退職によって確認できなくなることがあります。
自分で作った経過メモなど、問題のない範囲で保管し、社内資料の扱いに迷う時は専門窓口へ相談してください。
相談前に使える7項目の記入用チェックシート
「相談したいけれど、何から話せばよいか分からない」という時は、次の項目をコピーして、分かるところだけ書いてみてください。これは当サイトが相談の準備用に作成したメモです。ハラスメントに当たるかどうかを判定するものでも、公的機関の公式様式でもありません。
すべて埋める必要はありません。記録や証拠がそろっていなくても、相談を先延ばしにしなくて大丈夫です。
- 日時と場所
いつ、どこで起きたか:____
日付が曖昧なら「○月ごろ」など、分かる範囲で構いません。 - 相手と自分の関係
相手の立場、自分との業務上の関係:____
上司、同僚、取引先など、相談先へ伝えたい関係を記入します。 - 実際の言葉・行為
言われた言葉、されたこと:____
覚えている事実と、自分が感じたことを分けます。正確な言葉を覚えていない場合は、その旨も残してください。 - 前後の業務状況と自分の対応
何の業務中だったか、その前後に何があったか:____
自分が伝えたこと・取った対応:____
その場で言い返せなかった場合も、無理に説明を整える必要はありません。 - 頻度・目撃者・資料
一度だけか、繰り返しているか:____
その場にいた人、手元にあるメールなど:____
資料がない項目は空欄で構いません。記録のために危険を冒したり、持ち出せない社内資料を無断で持ち出したりしないでください。 - 仕事や心身への影響
仕事で困っていること、体調や生活への変化:____
いつごろから、どのような影響があるかを、自分の言葉で記入します。病名などを自己判断する必要はありません。 - 希望する対応と相談時に確認したいこと
今、困っていることをどうしたいか:____
情報が誰に共有されるか、今後の流れなど確認したいこと:____
希望がまだ決まらなければ「まず話を聞いてほしい」「選択肢を知りたい」でも構いません。
書いていてつらくなった時は、途中でやめても大丈夫です。身の危険がある時や心身の不調が強い時は、記入を終えることより、安全の確保や医療機関・公的窓口への相談を優先してください。
相談や記録の考え方は、厚生労働省「あかるい職場応援団」のハラスメントで悩んでいる方でも確認できます。ここでの7項目は、同サイトの公式チェックシートを転載したものではありません。
状況別に相談窓口を選ぶ

職場環境の改善を望むなら、上司、人事、社内相談窓口が候補になります。
社内で対応してもらえない、会社へ知られることが不安という場合は、総合労働相談コーナーや都道府県労働局へ相談できます。
眠れない、食べられないなどの不調がある時は、問題を解決してから受診しようと考えず、医療機関へ相談することも検討してください。
カウンセリングと心療内科の違いでは、仕事のストレスで迷った時の選び方を紹介しています。
暴力や身の危険がある時は、職場との話し合いより安全確保が先です。一人で相手と交渉しようとせず、警察や地域の緊急窓口を頼ってください。
相談後の流れと知っておきたい注意点

相談内容や事実関係の聞き取りが行われる
社内窓口へ相談すると、相談者への聞き取り後、本人の意向を確認しながら、相手や関係者への事実確認が行われることがあります。
情報共有の範囲や、相手への聞き取りに関する不安も伝えておきましょう。
相談しただけですぐ解決するとは限らない
事実確認や配置の調整には時間がかかることがあります。
相談後も言動が続く場合は記録を残し、窓口へ経過を伝えてください。
十分な対応が得られない時は、これまでの対応も時系列で整理しておきます。
一人で対応せず、相談先を変えてもよい
一つの窓口で思うような対応が得られなかったからといって、つらさが軽いということではありません。
労働問題を整理したいなら公的窓口、心身の不調があるなら医療機関、法的な対応を検討するなら専門家というように、状態に合わせて相談先を変えてもよいのです。
相談先全体を比べたい方は、人間関係の悩みは誰に相談すべき?も参考にしてください。
まとめ|ハラスメントか迷う段階でも相談先を頼ってよい

職場で受けた言動がハラスメントに該当するか、自分だけで判断する必要はありません。
社内で相談しにくい時は、総合労働相談コーナーや都道府県労働局など、会社の外にも相談先があります。
相談前には、日時、場所、具体的な言動、相手、目撃者、仕事や体調への影響を記録しておくと、状況を伝えやすくなります。
強い不調や身の危険がある場合は、職場での解決よりも安全確保や医療機関への相談を優先してください。
一人ですべてを整理しきれない時は、今話しやすい窓口を一つ選ぶところから始めてもよいかもしれません。



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