「メンタルヘルス」と聞くと、心の病気になった人だけに関係する言葉だと感じるかもしれません。
けれども、職場のメンタルヘルスは、病名の有無だけではなく、心の健康を保ちながら働くための幅広い考え方です。
私の周りでも、メンタルヘルス教育を受けていた人から「まさか自分が不調になるとは思わなかった」と聞くことがありました。
専門窓口や医療機関を案内されても、本人がおかしいと判断されたわけではありません。
今の状態に合う専門家へつなぐための対応と考えてもよいかもしれません。
この記事では、職場におけるメンタルヘルスの意味、不調に気づくサイン、利用できる相談先をまとめています。
知りたい内容から確認できます
メンタルヘルスの意味を知りたい
心の病気だけではなく、予防や早めの相談も含めて確認します。
自分の変化が気になっている
心・体・行動に表れるサインを順番に振り返ります。
相談先が分からない
職場内と社外の支援を比べ、強い不調がある時の安全な相談先も確認します。
職場のメンタルヘルスとは心の健康を守りながら働くこと

職場のメンタルヘルスに含まれる予防・早めの相談・職場環境の図解
メンタルヘルスは心の病気だけを指す言葉ではない
メンタルヘルスとは、簡単にいえば心の健康状態のことです。
心の病気と診断された後だけではなく、ストレスや強い悩み、不安によって心身の健康や生活へ影響が出ている状態も広く関係します。
メンタルヘルスは、病気になった人だけではなく、働くすべての人に関係する心の健康です。
不調になる前の予防や早めの相談も含まれる
職場のメンタルヘルス対策は、不調になった人を支えることだけではありません。
不調を防ぐこと、変化を早く見つけて対応すること、休職した人の職場復帰や再発防止までが含まれます。
つらさが限界になる前に気づき、相談することもメンタルヘルスケアの一部です。
出典:厚生労働省「職場のあんぜんサイト メンタルヘルス対策」
本人だけでなく職場環境も関係している
心の負担は、本人の性格や考え方だけで生まれるものではありません。
仕事量が多い、人間関係が緊張している、役割が曖昧、相談しにくいといった職場環境が重なることもあります。
休息や気分転換で少し楽になっても、環境が変わらなければ負担が戻るかもしれません。
自分だけで何とかできない職場環境の負担もあります。
職場で気づきたいメンタルヘルス不調のサイン

職場のメンタルヘルス不調が心・体・行動に表れるサインの図解
気分の落ち込みや不安など心に表れる変化
理由がはっきりしないのに気持ちが沈む。
焦りや不安が頭から離れず、好きだったことも楽しみにくい。
このような変化が続く時は、心が休めていないのかもしれません。
一つ当てはまるだけで病気だと決まるわけではありません。
大切なのは、症状名よりも、いつもの自分との違いが続いているかです。
眠れない・食べられないなど体に表れる変化
心の負担は、睡眠や食欲、頭痛、胃の不快感、動悸、強い疲れなど、体の変化として表れることがあります。
眠れない日や食べられない状態が続くなら、気合いだけで乗り切ろうとせず、産業医や医療機関へ相談することも選択肢です。
体の変化も、心の負担を知らせるサインかもしれません。
現在の状態を詳しく確認したい時は、職場の人間関係に疲れた時の限界サインで整理できます。
ミスや欠勤が増えるなど行動に表れる変化
集中しにくくなり、普段はしないミスが増える。
遅刻や欠勤が増え、人との会話を避けるようになる。
こうした行動の変化があっても、すぐに怠けや能力不足と決めつけないことが大切です。
行動の変化を、自分の弱さだけで片付けなくてもよいかもしれません。
今のストレスを質問形式で振り返りたい時は、人間関係ストレス診断も参考になります。
教育を受けていても自分の不調には気づきにくい

メンタルヘルス教育を受けていても自分の不調に気づきにくい理由の図解
「まさか自分が」と感じた同僚や後輩は少なくなかった
私の職場でもメンタルヘルス教育を行っています。
それでも、実際に不調を経験した同僚や後輩からは、「まさか自分がそうなるとは思わなかった」という言葉を何度も聞きました。
知識があっても、自分の変化を不調として受け止めることは簡単ではありません。
「もっと頑張れる」「一時的な疲れだ」と考え、相談が遅れることもあります。
「大丈夫です」と答える人ほど無理をしていることがある
責任感が強く、周りへ迷惑をかけたくない人ほど、つらさを言葉にしにくいことがあります。
声をかけられても、反射的に「大丈夫です」と答えてしまうかもしれません。
大丈夫という言葉だけで判断せず、眠れているか、食べられているか、休日に少し回復できているかも振り返ってみましょう。
言葉では大丈夫でも、睡眠や食欲に変化が出ていることがあります。
いつもの自分との違いを小さな段階で確認する
病名を自分で決める必要はありません。
まずは一週間ほど、睡眠、食事、気分、仕事への集中、休日の回復感を短くメモしてみる方法があります。
変化が見えると、上司や専門家へ状態を説明する時にも役立ちます。
病名を決めるのではなく、変化を記録するところから始めてもよいかもしれません。
職場のメンタルヘルスを支える4つの相談先

職場のメンタルヘルスを支える自分・上司・職場内・社外の4つの相談先
厚生労働省は、職場のメンタルヘルスを支える考え方として、セルフケア、上司等によるラインケア、産業医等による支援、社外の専門機関による支援という4つのケアを示しています。
出典:こころの耳「4つのケア」
自分の変化に気づき休息を取るセルフケア
セルフケアは、自分のストレスに気づき、休息や睡眠を確保し、負担を調整する取り組みです。
ただし、自分だけで解決しなければならないという意味ではありません。
セルフケアは一人で耐えることではなく、相談が必要だと気づくことも含みます。
上司は本人を診断せず専門窓口へつなぐ
会社によっては、メンタルヘルスの専門窓口を設けています。
上司の役割は病名を判断することではなく、本人の話を受け止め、仕事上の負担を確認し、必要に応じて専門窓口へ橋渡しすることです。
私も、上司だけで抱えず、専門窓口へつなぐことが大切だと感じてきました。
専門窓口を案内されたことは、突き放されたという意味ではありません。
産業医や社内相談窓口へ状態を相談する
職場に産業医、保健師、相談窓口がある場合は、社内案内や就業規則で利用方法を確認できます。
「相談すると上司へすべて伝わるのでは」と不安な時は、相談内容の守秘や、会社へ共有される範囲を先に確認してもよいでしょう。
医療機関や「こころの耳」など社外へ相談する
社内で話しにくい時は、医療機関や公的な相談窓口など、職場の外にも相談先があります。
「こころの耳電話相談」では、働く人のメンタルヘルス不調や仕事の悩みなどを相談できます。
相談先を広く比べたい場合は、人間関係の悩みは誰に相談すべき?でも役割を確認できます。
医療機関を勧められても自分を責めなくてよい

医療機関の案内が状態確認と専門支援へつなぐ流れを示す図解
専門支援の案内は「異常」という評価ではありません
今の状態を専門家と確認し、必要な支援へつなぐための案内として受け止めてもよいかもしれません。
専門支援の案内は適切な状態確認のために行われる
職場の上司や相談窓口は、本人の病名を診断する立場ではありません。
そのため、状態を専門家へ確認してもらう目的で、カウンセリングや医療機関を案内することがあります。
医療機関を案内されることは、あなたがおかしいと判断されたという意味ではありません。
受診するか迷う時は、案内した窓口へ理由を聞き、自分の状態や希望も伝えながら考えてみてよいでしょう。
強い不調が続く時は自己判断だけで抱え込まない
安全を優先したい状態
眠れない、食べられない、涙が止まらない、出勤前に強い動悸や吐き気がある状態が続くなら、セルフケアだけで抱え込まなくてもよいかもしれません。
産業医や医療機関へ相談し、今の状態を確認してもらう選択肢があります。
医療機関とカウンセリングのどちらへ相談するか迷う時は、カウンセリングと心療内科の違いで役割を整理できます。
緊急性を感じる時は地域の救急や医療機関を優先する
安全を優先したい状態
自分や誰かを傷つけてしまう恐れがある時や、意識・呼吸などに急な異常がある時は、記事を読み続けず、地域の救急や医療機関へ相談してください。
自分だけで連絡することが難しければ、家族など身近な人へ助けを求めてもかまいません。
まとめ|メンタルヘルスは誰にでも関係する心の健康

メンタルヘルスは誰にでも関係し変化への気づきと相談が大切だと示す図解
職場のメンタルヘルスは、心の病気になった人だけの問題ではありません。
働く誰にでも関係する心の健康であり、不調になる前の予防や早めの相談も含まれます。
教育を受けていても、自分の変化には気づきにくいものです。
まずは睡眠、食事、気分など、いつもの自分との違いを一つメモしてみてもよいかもしれません。
上司から専門窓口や医療機関を案内されても、自分を責めなくてもよいかもしれません。
一人で耐え続けず、職場、産業医、医療機関、公的相談窓口の中から、今使えそうな相談先を一つ確認してみてください。



コメント